看護師不足の背景

人手不足・退職者が多い要因は?

【7対1看護制度の影響】

現在の看護師不足の状況を語る上でよく取り上げられるのが、2006年から始まった「7対1看護」の制度です。これは従来、患者10名または13名程度に対して看護師一人を割り当てていた制度を改め、患者7名に対して看護師1人を割り当てるようにしたものです。患者としてはそれまでより手厚く診てもらえることになりますが、病院としては看護師がさらに必要となりました。そして、これを満たすことで診療報酬が上がるため、どの病院も新しい看護師の確保に走ったのです。

都会の有名大病院などはその知名度や好条件の提示により早期に看護師を確保することに成功しましたが、地方の病院や中小規模の病院ではなかなか看護師が集まらず、人手不足に苦しみました。そこで仕方なく、定年退職者を再雇用したり外来の看護師を兼務させるなどしてどうにか基準を満たそうとしましたがその分看護師の負担は増大してしまうという結果になったのです。一方の都会の病院でも仕事のきつさから離職者が目立ち、一つの病院を離れてもまたすぐに別の病院が見つかるという都会ならではの条件のよさもあって点々と職場を変えるいわゆる「ジプシーナース」まで現れるという不安定さを露呈しています。このような現状を生み出した7対1看護を看護師不足の諸悪の根源とまで言う人もいるほどです。

【看護大学の登場】

それでは、7対1看護の制度が始まる前はどうだったのでしょうか?
実際には看護師不足はそれ以前から慢性的であり、7対1看護が始まったから人手が足りなくなったというわけではありません。そのため、各病院は自前の看護学校を持っていて、そこで格安の授業料で看護師を養成することで人員を調達していました。例えば、国立病院の付属学校では教科書以外、寮費も食事代も医療費も無料でした。さらにその看護学校の学生実習で看護助手も確保されていたわけです。

しかし、昨今多くなってきた看護大学の登場でそのような学校は消滅してきています。やはり最近の学生は高学歴志向があるのと看護大学では看護に関する勉強が総合的にできることが魅力になっています。また、付属の看護学校では講師は病院の医師や看護師が兼任していましたが、看護大学では教育のプロが担当することでより深い内容を学べるというメリットもあります。そういった看護大学で高等な教育を受けた看護師は田舎や中小規模の病院ではなく、高度医療を目指す都会の大病院を目指すのは当然の流れです。都会の病院は7対1看護の体制が比較的整っていて経営も安定しているので待遇も安定しています。そして中小規模の病院では状況が逆になり看護師不足に苦しむことになります。

このように、今言われている看護師不足は決して7対1看護の制度だけが原因ではなく、看護師の教育環境の変化にもその原因があるのです。しかし、どちらにしろ現状では地方や中小の病院では人材流出による看護師不足、都会の病院でも激務と転職のしやすさにより人手が足りていないという状況にあるのは事実です。

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